3.11のM9級の地震に誘発され、余震が続いています。
この1カ月余りの余震回数は、平年の2〜3年分と言われます。
地震活動の活発化と先の見えない原発事故対策の憂いの中の
本日、第9回中部キャリアカウンセリング研究大会が開催されました。
同大会は、中部圏のキャリアカウンセラーたちの相互啓発のために
テンプスタッフピープルさんとともに、主宰する社会活動団体である
NPOキャリアデザインフォーラムが年1〜2回、企画運営しています。
同大会の内容については、近日、改めて報告するとして…
本日のテーマはざっくりといえば、ワークライフバランス。
事例報告とディスカッションの3時間をとおして
ワークとライフのバランスとは何だろうと改めて、考えさせられました。
働く(ワーク)とは、生きる(ライフ)うえでの、ごく自然の営みのはずなのに
ワークとライフのバランスを折りいって、考えなければならないほど
私たちは、不自然な働き方、生き方をしているのかもしれない…
豊かな暮らしとは何だろう…
ワークライフバランスが社会の課題になっている現状と
原発による発電に頼ってきた便利な暮らしが重なり
やや重たい宿題をかかえたような気分での帰宅となりました。
そして、夕食が終わる頃ちょうど、NHKの特別番組
「マイケル・サンデル 究極の選択〜大震災特別講義」が放送されたので
久ぶりに、サンデル教授の辣腕授業を視ることにしました。
政治哲学者 サンデル教授のハーバード大学での授業、「Justice(正義)」は
毎回1000人を超える学生で埋まり、アメリカ建国に先駆ける1636年創立の
歴史を持つ同大学において、履修学生数で最高記録を更新しています。
授業非公開を原則とする同大学が、この授業の公開に踏み切り
同大学史上初、授業が公開されたことに「神の意図」すら感じます。
ソクラテス方式(講義ではなく、教員と学生との対話による形式)による授業は
教育の最高の実例と言われ、この授業の公開は教育手法としてのみならず
多様な価値観が昇華されていく「場づくり」のモデルとして、意義があると
サンデル方式を見る度に、「ファシリテーターとしての私」が感銘するのです。
ただし、今夜の特番では、ファシリテーターしてではなく、人類のひとりとして
教授の正義への想いと人類への深い愛を感じて、心が動きました。
そして、遅ればせに、著書『これからの「正義」の話をしよう』を買いました。
さて、3.11以後の過酷な状況においても、強盗も便乗値上げも起こらず
冷静に協力し合う日本人の姿には、世界から称賛の声があがっています。
サンデル教授もそのひとりで、NHK特番ではボストン、上海の学生たちに
日本人のこうした在り様について、
意見を求めるところからスタートしました。
その後…
危険な任務は誰が担うべきか
高額な報酬での募集は公正か →
記事「危険な任務への高額な報酬」はこちら原子力への依存を続けるのか、減らしたり失くすのか
わたしたちはグローバルな共感を持てるのか
…といった質問によって議論を深め、善なるものの存在と普遍性を
説くことなく、解き明かしていくプロセスが展開され、目を見張りました。
それ以上に、正義とは何たるか…という命題について
久しぶりに心の焦点を絞らされたようで、目が覚める想いでした。
子供の頃から「正義感」が強いと言われ、これをプレッシャーにも感じ
知らず知らずに「正義」から距離をおく年月を過ごしてきましたが
今夜、正義とは何かをめぐる思索に引き戻されました。
もとより、正義とは何かを語る言葉が見つかったわけではありませんが
サンデル教授の「正義観」に深い愛すら感じ、少女の頃のように
正義とは何かを見つめる時間を、これからも持ちたいと思えました。
東日本大震災によって失われたものは、あまりにも大きすぎるけれども
大きすぎる喪失を償うには、私たちはいま「正義」を見つめることをとおして
東日本大震災後の日本や世界を立て直す基軸をもたねばならない、と
そんな想いを強く抱いた、サンデル教授の大震災特別授業でした。
改めて、大震災で亡くなった方々のご冥福をお祈りし
被災された方々の心身のご健康をお祈り申し上げます。